モーショングラフィックデザインに必要な能力
モーショングラフィックスの制作には実に多様なスキルが必要とされる。下記のページにはそれらを整理した10の技能・能力が挙げられている。
https://www.pluralsight.com/blog/creative-professional/10-essential-skills-need-motion-designer
しかしこれらはかなり発展的で理想的なラインナップとなっており、フルで満たせる人材はかなりのエキスパートである。
そこでもう少しベーシックな目線に立ち、あくまで"モーショングラフィックスを必要十分にデザインしアウトプットできる"レベルに必要とされるスキルは何か?を考えてみる。
モーショングラフィックスはその名の通り"モーション"と"グラフィクス"の大きく2つの属性がある。よってその2つを満足にこなせることがモーショングラフィックスの基礎能力と定義するのに妥当かと思われる。ではそれぞれに必要なスキルとは何か。
〜グラフィック〜
・造形能力
モーショングラフィックスはもちろん視覚表現全般に最も根本的に必要な"なにかしらのもの"を作り上げる能力。ものが無ければそもそも何のモーションも作れない。
・色彩能力
"もの" に性質を与える最もベーシックな方法が"色をつける"ことである。色によって人は重さや温度など様々な性質を想像する。その発展として質感表現もここに加えられる。
・平面構成能力
例え素晴らしい"もの"を作れたとしても画面上で適切に配置できなければその良さは半減してしまう。VRを除いて全ての映像には矩形のフレームが存在しており、その中でどのようにものを配置するかは常について回る課題である。静的なグラフィックを作る場合だけではなくモーションを作る過程においても同様である。
〜モーション〜
・演出能力
"もの"に対して適切なアニメーションを施すことがモーションデザインの最も根本的な作業である。感情の表現やキャラクター性の付与などが動的な演出によって決定される。
実はこの1つだけでもベーシックなモーションデザインはできるが、クオリティを上げるにはと以下の全く違った方向の2つの能力を求められる。
・動体視力
方向性的に正しいアニメーションを演出できたとしても感覚的な気持ち良さが伴わなければ表現として乏しいものになってしまう。そのためには良い動きを見極めるというかなりフィジカルな感覚が必要とされる。
リズム感も含まれる。
・計算処理能力
モーショングラフィックスは全てコンピューターによる計算で作られており、キーフレームアニメーションはある意味、数字との戦いとも言える。エフェクトの組み合わせも計算処理をどう組み合わせるかを考えることと同じである。またアプリケーションの背後で行われている計算を想像し、効率を考えて作業を進めることや、物理現象的な正しさをベースにグラフエディタを操作することが必要な局面も多々ある。
またスクリプトの記述ができることもここに含まれる。
グラフィック面で必要な能力はどれも感覚的にも論理的にも、どちらの攻め方でも処理できるし、大抵の人はその2つの感覚を組み合わせることだと思う。一方でモーションは1つ目は感覚的にも論理的にも処理できるが、他の2つはどちらか一方の攻め方でしか攻略できない。論理的に作りすぎても理屈っぽく退屈なモーションになるし、感覚的すぎると発展的な表現にたどり着くのが難しくなる。
以上が必要とされるベーシックな能力であるが、映像をトータルで仕上げるにはプラスして以下のような能力も求められる。
・物語構成力
"なにをつくるか"の着想が無ければグラフィックもモーションも決められない。全体の中で最も根源的な部分。
・音楽、音効の編集能力
視覚表現と聴覚表現の2つを統合させることは映像表現黎明期から取り組まれてきた課題である。
・独自性、作家性
あっと驚くような他にはない魅力は巧みな技術にも勝る、ある意味最大の武器である。
これら全てをこなせればゼネラリストとしてはかなりのものだろう。
プロフェッショナルへの道のりは遠く険しい。
おわり。
映像雑感1-諸要素と展望
映像は複合的な要素で構成されており、自分が特に興味のあるものとしては、絵と動きと音とプログラミングになる。
何故かストーリーテリングには昔から関心が無いため、成り行きでもモーショングラフィックスに行き着いたのは正解だったのかもしれない。
インタラクティブ性にも惹かれるが、鑑賞の敷居が高くなること、フレーム単位でのデザインが難しくなること、完成後のアップデートの必要性が高くなること、等から今は敬遠してるところがある。
しかしモーショングラフィックスにインタラクティブ性が必要事項になる未来はそう遠くないとかの有名なSander van Dijk大先生もおっしゃってたのでその覚悟はしておくとともに楽しみにもしている。
今のところ半インタラクティブとも言えるVR映像も鑑賞の敷居は高い。エンタメ作品にはもってこいだが広告映像との相性は今のところよろしくない。今後VR遊技機やVRシネマなどが発達すればVR広告映像の入り込む隙間も比例して多くなるだろう。
業務体制としても大規模なチームの一員として限られたセクションを担って超大作を作るよりも、少人数ひいては個人で可能なだけ広い工程に手を加えて多くの小作品を作りたいというところでも小規模のモーショングラフィックススタジオが合っているとは思う。
例えるなら楽団に所属するよりもバンドを組みたい、大きな船よりも小さな器を作りたいといったところか。
しかしアニメや映画も経験してみたいという気持ちもある。広告映像をいくつ作ったところで自分が作りましたという功績は残らない場合が殆どなので映画館で自分の名前がスクリーンに投映されたりパッケージ化された際に名前が残り続けるのは羨ましいと思う。
おわり。
はじめに
先日、先ずは一鍬を入れてみれば後は何とかなるからやってみろ
的な文章をどこかで見かけました。
なので、やってみたいことリストのうちの一つである
ブログ開設に一鍬入れてみました。
映像に関することを中心につらつらと書き連ねてみようと思います。
非常に飽き性なので継続していけるか怪しいですが、
何卒よろしくお願いいたします。